書籍感想 乙一 (著)  シライサン

書籍
3.5 out of 5 stars

2022.04.01. 電子書籍 634円 文庫 704円 (Amazon)
KADOKAWA
304ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4041087600
乙一 (著)  シライサン

メインにするつもりだった書籍レビューがこのブログを書きだして、約半年で今回初めてのレビューとなってしまった。

言い訳をすると、このブログを書きだした時、続き物の小説を複数読んでいたのでなかなかタイミングが無かったのです。
途中で一冊で完結する小説を読めばよかったのですが、中々、止めれなかっただけです。

で、日常物、推理物とⅣでいて、今回読んだ小説は、「シライサン」と言うホラー小説、映画にもなっている様なので知っている方ももしかしたら多いかもしれません。

そして、前半では極力ネタバレなしで書いていきます。

話の流れとしては、鈴木光司(著) のリングとよく似ています。
ほんの少し人間関係が複雑で群集劇になった感じでしょうか?
と言っても、それほど多くのメインとなる登場人物はいないので読みやすいとは思います。

ただ、幽霊となるシライサンの登場シーンが最後の方はマンネリ感があって怖さが薄れててしまったのが残念な処です。
もう少し、変化があった方があった方が良かったかなとか、人を殺すバリエーション多くするか、もしくは最初は出来るだけ隠して徐々に見せて行って恐怖感をあおった方が楽しめたかもしれません。

と言う感じですが逆に言えば、ホラー小説初心者やそもそも、怖いのが苦手な方には入りやすいのかな?と思いました。

そう言えば、アフェリエイトも未だに付けていなかったなと考えつつ書いた感想でした。
下記からは、ネタばれが含まれます。

最終的には、ホラー物にありがちな、原因がありそうなストーリーを描きつつも結局ボカシて終わる感じです。
そして、リングと同様、その怪談を聞いた人は、シライサンに殺されると言うお話なのだけれど、メインの主人公たちは、怪談話を改変しつつ、その怪談を逆に広め本物の怪談を存在を薄めると言う方法でこれ以上、犠牲者が減らすと言う選択をしました。

木を隠すなら森の中、森が無いなら木をたくさん植えてしまえって考えですね。

犠牲者は減ると思うのですが、主人公達が助かる方法は結局のところ、分からないままでした。

ここからは、私の考えですが、この死亡フラグから極力逃れられる方法があります。
小説内の終盤にも出てくるように、シライサンも多忙の為、人を殺せるのは3日に、ひとりです。
その為、本物の怪談を大多数、多ければ多い程、シライサンに殺されにくくなります。

1年、365日でシライサンが殺せる人数は、365 / 3 で121人です。
これを50年で考えると、6050人となります。

2010年から2020年の1年間の交通事故死亡者数が、最少人数2,839人から最大人数4,948人なので、交通死亡事故数の1/23から1/40と言う少なさです。
これは6050人に本物の怪談を広めた場合の確率で、1万人、10万人と本物の歓談を多く広めれば広めるほど、シライサンに殺される確率が減っていきます。

年間、121人はシライサンに殺されはしますが個人単位で考えれば脅威ではなくなります。
極々まれに起こる珍しい事故、病気程度になります。

と考えてしまうと、この小説の根本にある、怪談を広めてはならない、広まるのを阻止しなければならないと言う、恐怖感がほぼ皆無になってしまいます。

まぁ、読み終わった後でそう考えてしまいましたが、すんなり読めて面白い小説ではありました。

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