書籍感想 こちらあみ子

書籍

3 out of 5 stars

  • 出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房 (2011/1/10)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2011/1/10
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 199ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4480804307
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4480804303

今村夏子 (著)
電子書籍:605円
文庫本:704円
単行本:1500円

同タイトルの映画を観て、少しわかり難かったので、こちらを電子書籍で購入しました、映画では「こちらあみ子」のみでしたが書籍では、「こちらあみ子」・「ピクニック」・「チズさん」の短編集となっています。

いずれの主人公も、少し変わった性格の主人公達のお話となっています。
「こちらあみ子」では、ADHDの人の様な感じを極端にした様な主人公、余り他人の立場に立って考えるのが苦手だったり、ひとつの物事や特定の人物に固執したりと言った感じな、あみ子の小学5年から中学卒業までのエピソードで、あみ子の問題行動やその家族や周りの事件が淡々とそして断片的に描かれているいます。
あみ子自身は、悪気はなくむしろ、親切心と言って言い行動が他人の立場から考えるのが苦手な為に周りの人を傷つけてしまったり、イライラさせたり怒らせたりしてしまう。

そして、最後は父親からも・・・

と言った流れなのですけど、決して世間的には大きな事件では無く、家族間、友達間での大事件で淡々と書かれていて答えや着地点があるわけでもなく、読み終わった後はどちらかと言うとワイドショーのニュースに近い感じです。
そう言う事が有ったんだ・・・、この時、あみ子は、お母さんは、お父さんは・・・こう思ったんだろうな、と言った、読者が勝手に自由に考えてください。と言う作りになっています。

「ピクニック」や「チズさん」も同じ様な感じでピクニックでは、ビアガーデンで働く、20代後半くらいの女性、七瀬さん、年下の先輩たちと10代の後輩が主な登場人物で、七瀬さんは人気芸人と付き合っている言っているが、ほぼほぼ妄想の様にしか思えないのだが、それでも10数年は一途にその芸人の事を想っている姿や、不器用なりに頑張ってる七瀬さんを応援する年下の先輩たちと、まだ考えが子供でその言動が許容できない後輩、こちらは特に事件は起こらず、健気だが信じきれない言動の七瀬さんをどう思うのかを読者に投げかける、作りの小説です。

「チズさん」は、認知症気味のチズさんと近所に住むヘルパーさんと遠くで暮らしているチズさんの息子家族のお話と言うか、現実時間で1時間ほどだろうと思うやり取りを描いた一幕。

いずれも答えや結末らしいものは無くとある家庭や家族、職場での出来事の断片なのですけど、妙につづきが気になり、結局は結末も無いのでスッキリとか爽快感と言った物は無いのですけど、頭に残る物語となっています。

と言った、感想なのですけど読む人によって賛否別れそうな気がします。
共感をする人もいるでしょうし、退屈と思う人、嫌悪感を持つ人もいるかも知れません。
個人的には面白かったと思っています。

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