書籍感想 悪の教典

書籍
4 out of 5 stars

悪の教典 上 ハードカバー

  • 出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (2010/7/29)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/7/29
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ハードカバー ‏ : ‎ 440ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4163293809
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4163293806

貴志 祐介 (著)
電子書籍:765円
ハードカバー:1263円
文庫:858円

悪の教典 下 ハードカバー

  • 出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (2010/7/29)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/7/29
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ハードカバー ‏ : ‎ 411ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4163295208
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4163295206

貴志 祐介 (著)
電子書籍:765円
ハードカバー:1250円

人気教師、蓮実、愛称ハスミンぱっと見は爽やかイケメンで生徒想いの男性教師なのですけど、徐々にその本性が見えてきます。
所謂、サイコパスな性格で効率を重視すし非常に頭の良いが、どちらかと言うと熟考しての計画を立てるとと言うよりは、ある程度、目途を立てての即興での計画をするのが得意な感じの主人公。

少年期の興味から心理学にも精通していてプロファイリングも得意、その為、作品中でも大量殺人の場面以外でも心理戦が繰り広げられていて続きが非常に気になりどんどん読み進めてしまう作品となっています。

ツッコミどころとしては、自身の為だけの最良方法を最優先にするサイコパスとしては、そもそも、メリットよりもリスクの高い殺人を犯さない様にするだろうとは思うのですが、それでは、この手の物語には繋がらないと思いますので仕方なしと言ったところです。

一応は、ハスミンが主人公なのですが、各生徒や教師の問題や言動にもスポットが当てられて深堀されている、群像劇とも言えます。
その為、各登場人物が引き立っており、いじめ、セクハラ、不良、モンスターペアレント等の学校で起りそうな問題を解決していくハスミンですが、多少強引に解決することも有りそれが積み重なり、徐々にボロが出てしまい結果、大量殺人へと繋がってしまいます。
色々な人間関係を経ての大量殺人なので他の教師、特に生徒への感情移入をしてしまい、ハスミンに殺される痛みや恐怖が伝わる一方、ハスミンを信用している人が大半とは言え学校に入り込んだ誰ともわからない殺人鬼に警戒する40人以上の人間をどの様に殺すのかが気になり、感情が矛盾した状態になります。

その過程での、生徒達の作戦や心理戦、しかし、重要人物と思われていた生徒もあっさり殺されてしまったりするのと、著者、貴志祐介さん他の作品で多々、主人公が殺されたり余り良い状況にならなかったりもするので全員殺されるのか数人は生き残るのか予想が付きません。

著者、貴志祐介さんの作品は私としては結構好きで何冊か読んだことも有ります。
そして、何気に映画化やアニメ化などされている作品も多いですね。
私が知っている中では、「黒い家」「ISOLA 多重人格少女」「新世界より」などがあり、後、小説は見たのですが、映画は見ていない「青の炎」などもあります。

いづれも、心理的・人間恐怖の物語で心理戦も多用された物が多く、初めはじわじわと怖くなりながら最後は一気に怖さが出て来ます。
「悪の教典」もそれに漏れず、若干のグロさは有りますが極度に殺人がある物語に強い嫌悪感が無ければ一般的にも面白いと感じると思います。

悪の教典の前半部分が楽しめたのなら、先にも上げた「青の炎」も楽しめると思います。

また、小説を読んだ後、映画の方も観たのですが尺の関係上、大幅に削られている部分は有る物の面白かったです。
出来れば、2部作としての作品にしていれば生徒たちにも、スポットが当てられたのでは?
と言う思いです。
体感的なボリュームとしては小説を1/3位にまとめた感じでした。

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