書籍感想 贋物霊媒師 櫛備十三のうろんな除霊譚

書籍
2 out of 5 stars
  • 出版社 ‏ : ‎ PHP研究所 (2022/5/11)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2022/5/11
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 288ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4569902170
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4569902173
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.7 x 1.6 x 15 cm

阿泉 来堂 (著)
電子書籍:765円
文庫本:968円

この観想には軽くネタバレが含まれています。

最近の本の買い方のひとつに書店で紙の本をざっと見渡して面白そうなのが有ったら手に取り、裏表紙のあらすじを読んで面白そうだったら電子書籍で後から買うと言う事が多くあり、この本もそのひとつだったのですが、★の数を見て貰ったらわかる通り見誤りました。

この小説は4話とエピローグを入れた同主人公の短編で構成されています。

まず、私のジャンルの解釈ですがトリックや推理に主体を置いているのがミステリー小説・推理小説、江戸川乱歩さんとかアガサ・クリスティさんとかの小説ですね。
事件の動機や人間の感情等に主体を置いている、宮部みゆきさんとか湊かなえさんがよく書かれている様な小説をサスペンス小説と解釈しています。

結論から書くと、つまらないと言う事もないのですが、面白くもないと言った感じです。
書店で見た時と本の題名から、幽霊を絡めた推理小説かと思っていたのですけれど、推理小説ではありませんでした。
と言うか、ジャンルが分からない、あらゆる面で中途半端な感じです。

幽霊を絡めていますがホラー色は一切無く、生きている登場人物よりも幽霊のセリフの方が多く、怖さは全くないと言うか、幽霊だったのか生きている登場人物だったか忘れそうになります。
また、感動場面もありますが感情が動かされると言った事もありませんし、事件も起こりますがその動機が大した動機でも無いのでサスペンス小説でもありません。

主人公、櫛備十三と助手の美幸との駆け引きもユーモアさはありますが、それ程、面白いわけでは無くどちらかと言うと主人公、櫛備のプロファイリング的な凄さを各話で強調する為の物でしかありませんし事件の解明にプロファイリングが生かされているわけでもありません。

大体の事件解決は幽霊が死んだ直後または時間経過で都合よく核心部分の記憶が無くなっているか混濁した記憶を思い出すことで解決となる事が多々あります。
その展開自体は私自身や読んだ人の多くが予測出来ると思うのですが幽霊の記憶が頼りなので読者側が推理出来る余地が有りませんので推理小説の分類には入らないと思います。

幽霊の設定もガバガバである特殊な状態に陥った幽霊が生きている登場人物を触れなくなるのですがドアノブや壁などはしっかり触れるなど、触れられる基準がよく分からなかったり。
長く幽霊を続けていると自身の名前や家族の名前、顔、その他の記憶が消えていくと言う設定ですが、数か月で記憶が消えている幽霊もいれば、十数年たってもしっかり覚えている幽霊がいたりと各話、別の人が書いているのかと思うほど設定に一貫性がありません。

と言う事で、どのジャンルの小説なのかがよく分からず、評価できる点としては、つまらなくは無い、淡々と話が進むので読み易いと言ったところです。
おそらく、この著者の小説は買うことは無いと思いますが。

コメント